キッチンスペースにシステムキッチンをレイアウトする時、一番最初に考えるのは、“キッチンの形”と“置く場所”です。
- キッチンの形:I型、L型、U字など。
- 置く場所:壁付け、対面式、アイランドなど。
新築でもリフォームでも、キッチンプランをする時は、これらの要素に間取りや動線を組み合わせて、進めていくのが基本なのですが、海外のシステムキッチン事例に、もう一つプラスしても良さそうな要素を発見しました。
その要素とは、“フロート”です。
最近のTVボードやリビング収納、玄関収納などはフロートを取り入れたデザインがあるので、既に知っているという人もいらっしゃるかもしれませんね。
フロートキッチンは、先に紹介したどんなタイプのシステムキッチンでも、宙に浮いたように見えるところがポイント。
新しいレイアウトというよりも、新しい施工法と言った方が正しいかもしれません。
国内では、サンワカンパニーとパナソニックがフロートタイプのキッチンを提案していますが、この2社のフロートキッチンはフロアキャビネットの下に支柱があったり、巾木(足があたる部分)があるタイプ。
でも、フロートキッチンはこの2つだけではありません。
海外のキッチン事例には、アイデアを生かした様々なフロートキッチンがあるので、取り付け方とともに実際の例を見て行きましょう。
海外のフロートキッチン実例-目次
フロートキッチンってどんなの?一般的なキッチンとフロートキッチンの比較
フロートキッチンは、言葉の通りキッチンが浮いてる(フロート)ように見えるキッチンのこと。
何でわざわざそんなキッチンにするのか?は、施工例を見ると一目瞭然です。
イメージの違いが分かりやすい、部屋の真ん中にキッチンをレイアウトしたアイランドキッチンの例を2つ見てみましょう。
1.一般的なアイランドキッチン
2.フロートアイランドキッチン
この2つのキッチンは、フロアキャビネットとフローリングの隙間の高さや見え方が異なります。
日本のメーカーだと、フロアキャビネットとフローリングの間には高さ11cmの巾木(黒やシルバーで、キッチンの端から端まであるヤツ)があり、この部分は、フロアキャビネットの扉面よりも5.5cmほど奥に引っ込んでいます。
両サイドを壁に囲まれたシステムキッチンの場合、横からの見え方を気にする必要はありませんが、アイランド型や対面、キッチンの片側がオープンになったレイアウトの場合は、この部分をどう見せるかで随分印象が変わってきます。
フロートキッチンは、横から見た時も、足元に凹んだ部分を見せるタイプ。その為、宙に浮いたような印象になります。
また、海外の最新式キッチンでは、足元の高さを極力下げて、床にくっついたように見せるプランもあります。
フローリングに近いフロートアイランドキッチン
どのタイプにするかは、好みやキッチンレイアウトにもよりますが、キッチンのプランには、“フロート”という選択肢もあることを知っておくと、インテリア作りの幅が広がりますよね。
これはまさに超能力!?フロートアイランドキッチン
足元がない!!
これ、どうやって施工してあるんだろう??
イリュージョンみたいなアイランドキッチンです。
キッチンユニットではありませんが、キッチンにくっつけてあるダイニングテーブルが宙に浮いてる例。
ダイニングテーブルに支える為の脚がない!!
このテーブルが持つのか心配になりましたが、実際はこう。
- アイランドにあるグレーの分厚い腰壁がコンクリート。
- コンクリート壁の幅2/3までテーブルを埋め込む。
これで、強度が充分保てるそうです。
日本のP社がフロートキッチンと呼んでいるのはこのタイプ
ブラックのキッチンキャビネットにシルバーの巾木をコーディネートしたフロートキッチンの例。
巾木がピカピカなので鏡みたい!!
フローリングが映り込んでるので、見た目は浮いてるような雰囲気です。
ホワイトのキッチンキャビネットに黒の巾木をコーディネートした例。
さっきと逆パターンですね。
フローリングの色に合わせて巾木の色をコーディネートするのも良いかも。
巾木の高さが高いフロートアイランドキッチンの例。
浮かんでいるというより台座の上にキッチンが置いてある感じがしますね。
「この巾木の高さに何の意味が…。」と思いますよね?
これ実は、カウンターチェアに座った時、つま先が少しでもキッチン側の奥に入るように考えてプランしてあるんです。
細かいところまで気を使ったセンスに脱帽です。
足元にLED間接照明をプラスしたフロートキッチン
Ⅱ型キッチンのシンク側、調理器具側の両方ともをフロートにしたキッチン。
キッチンの足元が優しく光ってるので、キッチンというより高級家具と言った感じです。
かなり足元(巾木)が高いフロートアイランドの例。
フロアキャビネットの高さ:巾木=1:1.5くらいでしょうか…。
こんなバランス、初めて見たのでビックリです!!
日本にもショールームがあったり、輸入キッチンとして新築&リフォームで使うことも可能なので気になる方は「【海外&輸入キッチン】ドイツのメーカー11選ー憧れのおしゃれキッチン50実例付」を参考にしてみて下さいね。
空間が広く見える!!壁付けフロートキッチン
壁付けフロートキッチンは、日本国内のメーカーでは対応しているところがないように思いますが、海外ではドイツのキッチンメーカーrational(ラショナル)の事例に多く見られます。
カスタムメイドのキッチンにウォールシェルフを組み合わせた例。
キッチンというよりおしゃれな収納家具のような雰囲気ですね。
続いてrational(ラショナル)の事例を3つ。
ダークブラウンの木目キャビネットにグリーンのキッチンパネルを組み合わせたモダンなキッチン。
足元がスカスカ…。
配管は全て壁出しなので、床に何も物がない!!
ホワイトキャビネットの壁づけI型キッチン。
足元がこんなに空いてたら、食品のストックとか、ケース買いした飲み物を置いてしまいそう…。
何も置いてない状態だと、めちゃくちゃ格好良いですよね。
ブラック×ホワイトのキャビネットのI型キッチンを壁付けにした例。
何これ!?格好良すぎます!!
デザイナーズマンションなんかにありそうなキッチンです。
足元にLED間接照明をプラスしたフロートキッチン
ホワイトのキッチンの足元に暖かそうなオレンジのLED照明を入れたパターン。
照明があることで程よい温もり感がアップし、キッチンも広く見えます。
ベージュのキッチンの足元にブルーのLED照明を入れたパターン。
幻想的!!
食事風景をムーディーに演出するのが好きな人にはたまりませんね。
日本のS社がフロートキッチンと呼んでいるのはこのタイプ
システムキッチンのフロアユニットを支える支柱を見せ、巾木を使わないパターンです。
ブルーのレトロな雰囲気のI型キッチン。
足元に空間が見えますが、キャビネットの脚が薄ら見えています。
この隙間、埃掃除がしにくいかも…。
ダークグレーのⅡ型キッチン。
これも足元に微妙な隙間が作ってあります。
Ⅱ型キッチンのシンク側(アイランド側)だけフロートにした例。
グリーンのキッチンとダークブラウンの木目が素敵!!
足元にステンレスの脚が見えると、業務用っぽい雰囲気に。
配管や排水がどうなってるのか気になります(笑)
Ⅱ型キッチンのシンク側(壁側)だけフロートにした例。
このキッチン、床まで板があると想像してみると、無い方が広く感じませんか?
余談ですが、IKEAのキッチン収納も2015年より足元を浮かせる金具を採用しています。
金具:LIMHAMN by IKEA(写真右のカップボード)
(日本のIKEAのホームページには載ってません…。)
微妙な浮き方が素敵!!!ハーフフロートキッチン
アイランドキッチンの背面側のカウンター下に、低いキャビネットを取り付け、その下にLED照明を入れた例。
アイランドの背中側にキャビネットを置くパターンって、そう珍しくはないのですが、床にスペースを空けあるのは初めて見たかも!!
ちょっとしたことですが、工夫次第でこんなに格好良く見えるんですね!
シンク下をオープンにした例。
給排水はどうなってるんだろう?と疑問が湧いてきますが、キッチンキャビネットにシンクが引っ掛けてあるようなプランです。
巾木有と無の両方を混ぜたアイランドキッチン。
給排水が必要な方は、床まで覆うパターン、それ以外のキャビネットの足元はオープンにしてあります。
大きな窓があるダイニングキッチンなので、風の通りも良さそうですね。
冬は足元がスースーするかな?(笑)
トール収納(写真左側)は巾木あり、オープン部(写真右側)は巾木無にしたアイランドキッチン。
家具とキッチンが合体したような素敵なデザイン!!
壁側にある収納キャビネットも、電気オーブンがビルトインしてあるにも関わらず、ディスプレイ収納みたいなデザインで、見た目にこだわる派の心をくすぐりますね。
Ⅱ型キッチンの調理器具側(壁側)の横に紫の収納キャビネットをフロートで3mくらい並べた例。
あり得ないほど広い横長リビングですが、キッチンに収納家具をぴったりとくっつけて、一体化させるアイデアが斬新です!!
左側の収納部のみ巾木有、それ以外はフロートにした壁付け家電収納+I型キッチン+食器収納の例。
I型キッチンの両サイドに収納があるパターンですが、左右のキャビネットの足元のデザインが違うので、めちゃくちゃお洒落に見えます!!
アンバランスさを生かした素敵なプランですね。
コの字型キッチンの対面カウンターをフロートにした例。
うぁ~!!
このアイデアは凄い!!
床まであるキャビネットに比べると収納量は減ってしまいますが、床が見えてるので、キッチン側とダイニング側のつながり感が一般的な対面カウンターよりもアップしてるように思います!!
視覚トリックで浮いたように見せる!!!フロート風システムキッチン
最後に、従来の巾木があるキッチンにひと工夫して、キッチンが浮かんでいるように見せた事例を3つ紹介します。
まずは、フロアキャビネットの下に照明を入れて、床から浮いたように見せたキッチンを2つ。
床だけでなく、天井にも間接照明を使って、雰囲気抜群!!
照明器具を使って空間を演出できる人って憧れます。
ブルーの照明を入れた例。
青系の光だと清潔感がアップする気がします。
何だこれ!?
船かと思ったらアイランドキッチン!!
フロートキッチンとは違うのですが、デザインにビックリしたので掲載。
このまま、キッチンが床を進んでいきそうな雰囲気ですね。
フロートキッチンはオーダータイプのキッチンでないと実現しにくいプランですが、キャビネットの下にカブセがあるのと無いのとでは随分と印象が異なりますよね。
広いLDKでキッチンが丸見えになる場合は、フロートタイプの方がおしゃれに見えるのではないかな?
ただし、空間に埃が溜まりやすいので、壁付けフロートキッチンにする場合は掃除のことも考える必要がありますよ。
[参照元:Houzz Inc]