15年ほど前、同僚が新築中の戸建住宅の設計図を見せてくれた時「キッチンの床はタイルにする。」と宣言していたのを聞いて「建材メーカーに勤めてるのに、何故、床をタイルに!?」と驚いた記憶があります。
当時は、今ほど輸入タイルを扱ってるメーカーも無かったし、インターネットも発達してなかったので、海外のお家のようなタイル床のキッチンは「汚くなってしまうのでは?」「冷たいのでは?」という印象が拭えなかった私。
彼女曰く
- 掃除が楽だから
- 冷たいのは床暖房+タイルにするから大丈夫
- 汚く見えないようにマメに掃除する
ということで、INAX(現在はLIXIL INAX)の内装用床タイルを選定してました。
あれから数年、先日、ニューヨークのメーカーの室内床タイルを目にする機会があり(と言っても商業施設ですが…)その柄に「え!こんな可愛い柄の床タイルがあるの!?」とビックリ。
床タイルと言えば、何の変哲もない正方形が並ぶ、昔のお風呂やトイレのようなイメージを持っていたので、そのデザインの良さに「キッチンの床にこんなタイルを貼るのもありかも。」と思った次第です。
調べてみると、タイル by サンワカンパニーでも変わったデザインの床タイルが販売されているんですね。
そこで今回は、ダイニングとつながったキッチンを中心に、タイル床のキッチン事例を紹介して行きたいと思います。
フローリングvsタイル-傷と汚れ(目地)の比較
フローリングは、表面が柔らかいので、食器類を落としても割れにくい特徴がありますが、鋭利な物を落とした場合の傷は致命的。
上記の写真のように白っぽいフローリングに傷がついてしまった場合は、まるで汚れが付着しているかのような黒い跡が残ります。
(※我が家の場合。傷つけた当初は傷つけたことに気付いてなかったのですが、だんだん黒くなる傷跡に「やってしまった…」と後悔。多分、スプーンやフォークを落とした跡。)
フローリングの目地は元々黒いので、油汚れや埃等が溜まっても気になりませんが、フローリングの表面は毎週、家庭用洗剤を使って拭き掃除をする度に雑巾が黒くなるので、フローリングだからと言って汚れないという訳ではありません。
(※経験談。キッチンの使用頻度やレイアウトにもよる。)
タイルは、表面が硬いので、食器類を落とすとすぐに割れてしまいますが、鋭利な物を落とした場合でも傷つきにくいのが特徴です。
タイル表面の掃除は楽ですが、タイル同士の目地は、タイルの表面より凹んでいるので油や埃などが溜まりやすく、経年で黒ずんできます。
(我が家の場合、油汚れ用の洗剤を使っても目地の黒っぽさは消えない。目地の色が目立たないデザインや色にすることで多少は回避できるかも。)
フローリングvsタイル-コストの比較
よく「タイルはフローリングと比較するとコストがUPする」と言われていますが、製品によっては㎡単価が同等の場合もあります。
- タイル:セラミカ・ウッド598タバコ
¥4,980/㎡(税込)
発注単価 ¥5,329/ケース(税込)
サイズ 598×598×9.5mm 入り数
1ケース(3枚入り) 1.07㎡ - フローリング:スウェーデンパイン ストラクチャーグレー オイル仕上げ
¥4,980/㎡(税込)
発注単価 ¥8,117/ケース(税込)
サイズ 112×1820×t15mm
入り数 1ケース(8枚入り)1.63㎡
これを約3畳(5㎡)のキッチンの床に貼ると仮定すると
- タイルは5ケース
- フローリングは4ケース
になります。
※㎡単価は同じでも、ばら売りではない材料の場合は、ケース単位発注になる。
数字だけを単純に比較すると「フローリングの方が安い」となりますが「上記よりも安いタイルを選んだ場合は?」という疑問も。
また、タイルにしてもフローリングにしても、これらを貼る場合は材料費だけでなく、貼り手間も掛かってきます。
タイルとフローリングのコストは、
- どの製品にするか
- どの範囲に貼るか
- 予算に余裕が有るor無い
によって違ってきます。
一概にどちらが高いとは言い切れませんので、施工会社さんと綿密に打ち合わせ&相談してみましょう。
キッチンタイル床実例-目次
1.清潔感溢れる床タイルをキッチンに貼った例
1-1.ホワイト
ホワイトの大きめのタイル床に黒のフラット扉のキッチンを組み合わせた例。
アイランド部に直結した木目のダイニングカウンターが美しい!
Ⅱ型キッチンではなく、L型変形のキッチンレイアウトも変わってる!!
壁面に黒の家電収納+収納がそびえ立ってますが、とても開放感があります。
真っ白なⅡ型キッチンとホワイトタイル床を組み合わせた例。
冷ッ!と冷たい雰囲気がしますが、清潔感抜群!
先ほど、ホワイトタイルと書きましたが、正確には、薄く木目が入ってます。
海外の製品ですが、Metalwood by Casalgrande PadanaのPlatinoです。
1-2.グレー
ホワイトのフラット扉のコの字型オープンキッチンと白に近いグレーのタイル床を組み合わせた例。
対面側のナチュラルブラウンのカウンターが目立ってる!
このレイアウトで、床がフローリングだったら、ここまでカウンターは目に入らないかも…。
フロア部が薄い茶色の木目扉、ウォール部がホワイト鏡面扉のモダンな対面キッチンと薄いグレーのタイル床を組み合わせた例。
壁も薄っすらとグレーなのでオシャレ度が半端ない!
白に近いタイル床は冷たい雰囲気がしてしまいがちですが、キッチンの木目を上手く生かして、温かみがプラスしてあります。
ホワイトのフラット扉のキッチンに、薄いグレーの正方形タイル床を組み合わせた例。
この間取り変わってる!
玄関から土足でキッチンへ。
キッチンの隣にあるリビングは1段高いフローリング。
いちいち靴を脱がないといけない間取りですが、こういうキッチンって、土間のあった一昔前の日本では当たり前だったような気がします。
壁付けステンレスキッチンにグレーのタイル床を組み合わせた例。
キッチン、ダイニング、リビングに仕切りが無い間取りで、キッチン&ダイニングの床をタイルにしたパターン。
よく見ると、タイルの厚み分だけダイニングキッチンが高いので、フローリングの上に貼ったのかしら?
隣り合うフローリングとタイルの雰囲気がバッチリ合ってますね。
木目が綺麗なL型キッチンとグレーのタイル床を組み合わせた例。
1個前の事例とは逆でキッチン部分だけ床が下がってる!
タイル床のキッチンには、単色のフラットなキッチン扉を組み合わせるのが当たり前かと思ってましたが、温もりを感じる木目でも問題ないんですね。
1-3.ダークグレーorブラック
ホワイトの框付扉のⅡ型キッチンにグレーのタイル床を組み合わせた例。
隣にあるダイニングは茶色のフローリング。
写真では見えないですが、タイル床には排水溝があり、水洗いできるようになっています。
「水を流すとキッチンが傷むのでは?」と心配になりますが、キッチンの蹴込み(扉より凹んだ足元)や壁と床の間には、白のガードのようなものがまわしてあります。
ヴィンテージな横木目のフラット扉キッチンにダークグレーのタイル床を組み合わせた例。
何という格好良さっ!
1個前の事例と同じく、ダイニング側はフローリング。
窓側の収納部の壁はレンガ、キッチン前はブルーのタイルというおしゃれなコーディネートにも注目です。
ホワイトの框扉の壁付けキッチンとダークグレーの長方形のタイル床を組み合わせた例。
壁に対して斜めにタイルを貼るアイデアが素敵!
このお家も、キッチンとダイニングの間の壁で、タイルとフローリングの貼り分けがしてあります。
ホワイトの框扉の壁付け+対面カウンターのL型キッチンと黒っぽいタイル床を組み合わせた例。
このタイル、質感たっぷり!
凄く高そうなタイルですが、この重厚感はタイルならでは。
ホワイトのフラット扉の独立Ⅱ型キッチンと真っ黒なタイル床を組み合わせた例。
私の知ってるキッチンと全く違う!
キッチンというより厨房という印象かも。
2.温かみのある床タイルをキッチンに貼った例
ホワイトのフラット扉の壁付けキッチンがあるLDKを薄いベージュのタイル床にした例。
清潔&上品&広々!!
決して広いLDKではないのですが、通路が一直線に取ってあるので広く見えます!
フラット扉のホワイトのコの字型キッチンと木目のようなデザインの薄いベージュのタイル床を組み合わせた例。
素敵なコーディネート!
薄っすらとラインが入ってるので、床に程よいニュアンスが現れて、なおかつ清潔感もたっぷり。
ホワイトのフラット扉の壁付けキッチンとホワイト天板+木脚のダイニングテーブルセットを置いたダイニングキッチンの床をベージュのタイルにした例。
温もりを感じる木とタイルの色使いが心地良さげな空間を演出!
右手前にあるリビングもダイニングキッチンと同じタイルが貼ってあり、グレー系のソファ&ラグがコーディネートしてあります。
シンク側が壁付け、調理機器側が対面になったホワイトのフラット扉のキッチンと薄いベージュの正方形のタイル床を組み合わせた例。
目地が目立つ厚みのあるタイルなので目地の汚れは気にならない?
こうやって事例を見てると「タイル床」だけではなく「どんな大きさのタイルを貼るか?」も見た目の印象を左右する気がします。
シンク側が壁付け、調理機器側が対面になったホワイト+木目のフラット扉のキッチンと素材感のあるの正方形の大きめのタイル床を組み合わせた例。
こんな対面キッチン、憧れる!
キッチンアイランドカウンター横の通路スペースもタイル床になってるので、キッチンの幅分だけがフローリングになってるのかな?
無地のタイルも素敵ですが、この事例のような、ちょっぴり陰影があるデザインの方が汚れが気になりにくいかも。
3.個性的な柄の床タイルをキッチンに貼った例
ベージュ×黒の菱形のタイル床とホワイトの框付扉の壁付けL型キッチンを組み合わせた例。
アンティークな雰囲気が素敵!
同じサイズのタイルが綺麗に並んでる床も綺麗ですが、この事例のような大小が組み合わさったデザインの方がおしゃれに見えますね。
グレー×黒の菱形のタイル床とブルーの框付扉の壁付けキッチンを組み合わせた例。
何と個性的なキッチン空間。
キッチンだけが別部屋になった独立型キッチンでないと、こんな思い切ったカラーコーディネートは出来ないかもしれませんが、タイルは、1個前の事例のグレーバージョンです。
ホワイトのフラット扉の壁付けキッチンとベージュ・グレー・黒の六角形のタイル床を組み合わせた例。
何このデザイン!
このスタイルは、ヘキサゴンタイルでネット検索すると出て来る様子。
「フローリングとタイルの取り合いはどうなってるの?」と思ったら、この事例の場合は、フローリングの上から貼ってあるっぽい。
ホワイトのフラット扉+木目カウンターの対面キッチンに、質感の良さそうな木のダイニングテーブルセットを組み合わせ、床に模様みたいな柄のタイルを貼った例。
人のお家じゃないみたいな芸術的なタイル!
ちょうどカメラがある位置がリビングになっているのですが、リビングもこのタイル床になってます。
黒の鏡面フラット扉の壁付けL型キッチンと白×薄いグレーの菱形模様のタイル床を組み合わせた例。
ちょっぴり懐かしい雰囲気がして素敵!!
これが真っ白で柄の無いタイルだったら、モデルルームのような生活感が無い空間に。
思いっきり現代風のキッチンとレトロなタイルの組み合わせ方が絶妙です。
ホワイトのフラット扉の壁付けキッチンと黒×白の菱形+四角のタイル床を組み合わせた例。
このタイル、可愛い♪
こんなに柄が目立つ床にしようと思ったことが無かったのですが、壁面は真っ白で床だけ目立たせるコーディネートもありですね。
ホワイトのフラット扉の壁付けキッチンと黒×白の星型(花柄?)のタイル床を組み合わせた例。
これも可愛い♪
壁が青緑なのも素敵過ぎるっ!!
1個前の事例のタイルより、こっちの方が好きかも。
グレー(暗いブルー?)の框扉の壁付けキッチンと黒×白のパターン柄のタイル床を組み合わせた例。
壁面は真っ白なサブウェイタイルで床は柄付き。
可愛いカフェに足を踏み入れたようなセンスあるコーディネート例です。
ホワイトの框付扉の対面L型キッチンと白×薄いイエローのタイル床を組み合わせた例。
レトロな雰囲気がたまりません!
このキッチン、天板もタイル!?
白とイエローが交互ではなく、白タイルの中にところどころ黄色が貼ってあるのが面白いですね。
最後は、黒と白の同じ大きさのタイルを交互に貼った事例を5つ。
ホワイトの框付扉のⅡ型キッチンと白と黒のタイルを組み合わせた例①。
タイルの方向は壁と平行です。
ホワイトの框付扉のⅡ型キッチンと白と黒のタイルを組み合わせた例②。
正面の壁が黄色なのは別にして、1個前のキッチンとよく似たパターンで、タイルが斜めになってるバージョン。
この貼り方の方がカジュアルさがUPする気がします。
1個前と同じタイルの貼り方で、キッチン扉をグリーンにすると、これまた全く違う雰囲気に。
更に、同じ白黒タイルでも、白と黒の割合が変わると、下記のように上品な印象に。
白:黒=2:1の割合でタイル床にしたLDKの例。
白タイルの角に黒のタイルを斜めにして貼ったキッチンの例。