食べる、寝る、くつろぐの基本的な生活の中で必需品となってくる家具。
特に、ベッドやソファ、ダイニングテーブルは、床面積の多くの割合を占めるもので一旦配置してしまうと移動が困難なものの代表例です。
みなさんは、これらの家具を置く時
「大きな家具は、部屋の端に置く方が良いんでしょ?」
という単純な考え方をしていませんか?
確かに、部屋を広く見せるには、家具を部屋の端に寄せ、中央を広く空けるのが一般的ですが、明るさや美しさ、整然とした雰囲気を考えると、この置き方には疑問符が残ります。
その理由は、均一な空間がある方が、人間の目は美しいと感じてしまうからです。
今回は、ソファ、ダイニングテーブル、ベッドの大型家具を部屋(壁)の中心に置くのと端に置くのとで受ける印象の違いを中心に部屋の見え方の違いを紹介していきましょう。
家具の置き方のコツとレイアウト例-目次
1.家具の置き方の基本2パターン
1-1.部屋(壁)の中心(中央)寄りに置く
床面や壁面の中心を出して、その位置に家具の中心にくるように家具を置くのがこの方法です。
1-2.部屋(壁)の端に置く
壁面にできる限り家具を寄せて置くのがこの方法です。
リビングダイニングが一つの空間にある間取りの6人掛けダイニングテーブルを壁際に寄せた例。
向こう側にあるリビングのソファは、リビングスペースの中央にレイアウト。
一人暮らしの部屋で、ベッドとソファを同じ壁面に寄せてレイアウトした例。
2.中心(シンメトリー)、端(アンシンメトリー)レイアウトのメリットとデメリット
1項目目で紹介した2つのレイアウトのメリットとデメリットは、ベッドの例で見ると一目瞭然です。
壁の中心線とベッド幅の中心を合わせて、シングルベッドをレイアウトした寝室の例。
左右に均等にスペースが空いているので、見た目が綺麗。
更に、この空間を生かしてサイドテーブル+テーブルランプを組み合わせたものを2つ用意し、おしゃれなインテリアを演出してあるのが特徴。
ダブルベッドを寝室のコーナーに寄せてレイアウトした例。
反対側の空間を広々と確保することで、引き出し付きのチェストをプラス。
左右からベッドに侵入することはできませんが、実用性を考えたレイアウトになっています。
メリット
- 中心(シンメトリー)レイアウト:バランスが取れているので見た目が綺麗。おしゃれなインテリア空間を演出したい方向き
- 端(アンシンメトリー)レイアウト:広い空間を確保できるので、広々と見える。余裕があれば、チェストやデスク、テーブルなどを置くことも可能。
デメリット
- 中心(シンメトリー)レイアウト:部屋の大きさによっては、人が通るのが難しい中途半端なスペースしか残らないことも。
- 端(アンシンメトリー)レイアウト:空間が余ってるように感じ、余分な家具や物を置いてしまうことも。整理整頓が苦手な方には不向き。
3.ソファの置き方例
3-1.部屋(壁)の中心(中央)寄りにソファを置いた例
リビング空間の中央にオレンジ色の3Pソファを置き、外が見える位置に同じデザインのベージュのチェアをレイアウトした例。
つくろぎスペースの周囲に均等にたっぷりスペースがとってあるので、リラックスできそう!
「リビング自体がこんなに広くない!」という場合は無理なレイアウトかもしれませんが、チェアを無くせば、似たような空間を作ることは可能な気がします。
リビングの壁面の中心に液晶TVを壁掛けにし、その延長線上にライトグレーの3Pソファをレイアウトした例。
ソファサイドに均等の空きスペースがあるので、ソファの存在感がアップ!
お気に入りのデザインのソファやカラーを目立たせたい場合は、この置き方の方が向いています。
リビングの壁を背に、壁面の中心に3Pソファのセンターを合わせ、左右にデザイン性の高いサイドテーブルとテーブルランプを置いた例。
この写真を真ん中で真っ二つに切って、折り曲げると、全ての家具が綺麗に重なります。
壁を背にする場合、ソファの横に通路スペースを確保する必要が無いので、意識して左右対称にするのがおすすめ。
ワンランク上のインテリアを目指すなら、このレイアウト方法は絶対に習得しておきたいものです。
リビングの壁を背に、壁面の中心にコーナーソファのセンターを合わせ、背面の壁に花のアートを4列2段、飾った例。
座面が一方だけ前に出るコーナータイプのソファでも、壁の中心にレイアウトすることは可能です。
数枚のアートを均等に飾ることで、インテリアの美しさを強調する手法にも注目。
3-2.部屋(壁)の端にソファを置いた例
リビングスペースの壁を背に紫のコーナーソファを置いた例。
写真の手前に見える奥行き75cmほどの横長の床スペースは左側にある勝手口への通路になっているので、ソファ自体はリビング空間の2面の壁にソファの背もたれをくっつけて置いているのと同じ置き方です。
スペースを測ってから、ぴったり合うサイズのソファを探してきたという感じかな?
横長のリビングのコーナーに青紫のコーナーソファをぴったりと置いた例。
長手の壁の中心ではなく、奥まで寄せたソファレイアウトなので、手前の空間をたっぷりと確保。
空きスペースを利用してフロアランプを置き、空間の広がりを演出してあるところにも注目です。
対面式キッチンがあるリビングダイニングの窓側(写真右側)にソファをレイアウトした例。
窓側に向かった角度で撮影したのが下の写真。
壁の中心ではなく、フロアランプを置くスペース数cmを空けて、ソファが置いてあります。
ダイニングテーブルが置けない狭いLDKですが、カウンターチェアとソファの空間を広々と空けることで圧迫感を回避。
掃き出し窓と壁を背に、コーナーソファをレイアウトしたリビングダイニングの例。
「2枚の引違い窓にソファがかかってるけど大丈夫?ベランダへの出入りはどうやって?」と心配になる置き方ですが、その分、部屋の中央の床面が多く目に入るので、広々とした印象ですね。
ソファの位置に合わせて、ダイニングテーブルセットも壁に寄せてレイアウトしてあるのもポイントです。
1個前の事例と同じく、掃き出し窓と壁を背に、コーナーソファをレイアウトしたリビングの例。
リビングのみの部屋ですが、TVの中心に合わせてソファを真正面レイアウトするのではなく、わざとずらしてあるのがポイント。
このようにソファをレイアウトすることで、入口からソファまでの空間を確保し、視覚的にも広さを感じるように工夫してあります。
4.ダイニングテーブルの置き方例
4-1.部屋(壁)の中心(中央)寄りにダイニングテーブルを置いた例
ダイニングスペースの中央に正方形の4人掛けダイニングテーブルセットを置いた例。
「もっと大きなテーブルが置けるのでは?」と思えるくらい、テーブルの周りのスペースがたっぷり♪
テーブルから壁までの距離を均等にして、なおかつ通路スペースもたっぷり取りたい場合は、この事例のような座る人数に応じてテーブルの大きさを変えることができる伸長式のダイニングテーブルを購入すると良いかも。
対面式キッチンカウンターの前のダイニングスペースの中央に6人掛けのダイニングテーブルセットを置いた例。
キッチンカウンターの中心線と短手の壁の中心線が重なる場所にテーブルの中心を合わせたレイアウトです。
ちなみに、この写真の右側にはリビングがあり、ソファのレイアウトは、壁の中心に合わせたものではありません。(下の写真参照)
リビングダイニングがひとつながりになった12畳ほどのスペースのダイニングスペースの中央に4人掛けの長方形ダイニングテーブルセットをレイアウトした例。
広めのLDで、家具をレイアウトする時の参考になりそう。
壁とソファ、ソファとダイニングテーブル、ダイニングテーブルと壁の間のスペースが全部均等なので、整理されているという印象です。
8畳ほどあるダイニングスペースの中心に6人掛けのダイニングテーブルセットを置いた例。
入口ドアからダイニングテーブル、ダイニングテーブルから窓までの距離が均等です。
周囲の通路が余り過ぎてるので、ついつい大型収納家具を置いてしまいそうになりますが、そこは敢えて、ベンチやチェアなどの床が見える家具を置いて広々とした雰囲気を壊さないようにしてあります。
キッチンスペースの開口部を中心に2人掛けの長方形ダイニングテーブルをレイアウトした例。
木製の茶色のテーブルに左右対称に真っ白なチェアがコーディネートしてあるので、見た目が美しい♪
シンメトリーを意識したレイアウトは、気にしておくだけで空間全体をセンスよく見せる効果もあります。
4-2.部屋(壁)の端にダイニングテーブルを置いた例
対面式キッチンのあるダイニングキッチンに、5人掛けダイニングテーブルセットを壁にくっつけてレイアウトした例。
壁側はL金具で固定してあるのかな?
キッチンのセンターよりもズレてるように見えなくもないですが、向かって右側の通路が広く取ってあるので、窮屈という印象がありませんね。
リビングダイニングの仕切りがない間取りで、4人掛けダイニングセットの短手をピタっと壁につけた例。
このような部屋の場合、私なら絶対にテーブルを真ん中に置いてしまいます…。
テーブルの下にラグを敷くことで、ダイニングエリアを視覚的に作ってあるのもポイントです。
8畳ほどあるダイニングで、4人掛けダイニングテーブルセットを窓際に寄せて置いた例。
ダイニングテーブルを長方形ではなく円形にしてあるのがポイント。
円形なら、角度を変えて、どの位置からでも外が見える椅子の置き方ができます。
キッチンとダイニングが1つの空間にあるダイニングキッチンで、アイランドキッチンのセンターを無視して4人掛けダイニングテーブルセットをレイアウトした例。
この部屋を違う角度から見たのが下の写真。
向かって左側のスペースよりも右側のスペースが狭い理由は、左側にリビングがあり、そちらのくつろぎ空間を重視してあるからです。
縦長リビングのダイニングスペースに円形の4人掛けダイニングテーブルセットを壁寄りにレイアウトした例。
このような間取りの場合「通路スペースはテーブルの周りに等間隔に空けた方が良いのかな?」と思ってしまいますが、リビング側からの見え方も考慮して、出来るだけ広い空間が作ってあります。
ちなみに、この写真の手前にあるリビングスペースのソファ&家具の置き方は、下のような感じです。
5.ベッドの置き方例
5-1.部屋(壁)の中心(中央)寄りにベッドを置いた例
幅2200mm程度の壁を中心にダブルベッドをレイアウトし、左右にフロアランプをシンメトリーに置いた例。
左右の空きスペースは、一人が通れる程度で狭めですが、二人で寝るなら、両方にスペースがあった方が良いですね。
長手の壁の中心を起点にダブルベッドを置いた寝室の例。
もっと窓寄りにレイアウトすることも出来ると思うのですが、格好良いデザインのヘッドボードを考えると左右に均等にスペースが空いている方が見た目が良いかな?
ちなみに、このヘッドボードは、IKEAのMANDALです。
壁の中心を起点にシングルベッドを置き、左右の空きスペースに同じデザインのナイトテーブル、ベッド上部の壁面にベッドと同じ幅のホワイトのシェルフを取り付けた例。
インテリアの作り方がセンス良すぎる!!
この美しさは、センターレイアウトでないと出せませんね。
寝室の短手の壁の中心線を基準にしてダブルベッドを置き、左右にナイトテーブルとブラケット照明をコーディネートした例。
壁面のアートがなぜ右寄りに飾ってあるのかが謎。
このアートは、ベッドのセンターに合わせた方が絶対におしゃれに見えるはず!!
5-2.部屋(壁)の端にベッドを置いた例
窓からの距離を空けてシングルベッドを置き、反対側にナイトテーブルをレイアウトした例。
空いた場所にデスクを置くのではなく、最初からデスクを置くつもりでベッドの位置を決めた感じですね。
デスクの端とナイトテーブルの端に合わせた地図(アート)の飾り方も参考に。
デスクとダブルベッドを寝室の長手方向の壁に寄せて置いた例。
ビジネルホテルでよく見るこの配置は、空間の片側に家具を並べることで、部屋を広く見せる効果があります。
寝室のコーナーに沿ってダブルベッドをレイアウトし、空いたスペースにチェストを置いた例。
窓にベッドがかぶってる…。
チェストとベッドの位置が反対でも良い気がしますが、もしかしたら右側にクローゼットがあるのかも。
窓がある短手方向の壁に沿ってシングルベッドをピタリと置いた寝室の例。
1個前の事例のベッドを90度回転させた版です。
部屋の大きさは同じくらいなのに、奥にベッドがある方が広く感じるのは気のせいではありません。
ベッド以外の床を見ると、こちらの方がまとまった空きスペースがあるからです。
短手方向の壁に沿ってシングルベッドをピタリと置いた寝室の例。
1個前の事例とベッドのレイアウトは同じですが、こちらは壁に窓が無いバージョン。
ベッドとチェストの間に縦長ミラーを置いて、光を反射させることで狭い空間を広く見せる効果も狙ってあります。