同じ部屋でも、内装材やカーテン、家具の色を変えただけで、広く見えたり狭く見えたりします。
これは、色がもたらす視覚効果。
住まいのような広い空間では実感しにくいかもしれませんが、人が着ている洋服ならどうでしょう?
体型カバーの為になるべく淡い色の洋服は選ばず、黒や濃紺を好んで着ているという人もいるでしょう。
色には、「大きく見える色」と「小さく見える色」があり、「重く見える色」や「軽く見える色」もあります。
この色の持つ性質を知っていれば、狭い部屋を余計に狭く見せてしまうこともなくなるでしょう。
このページでは「重い色と軽い色」、「暖色と寒色」、「小さな柄と大きな柄」の3つを具体的な事例を挙げて説明していきます。
重い色と軽い色、どこにどう使えば効果的?
同じ大きさの2つの四角い箱があります。
一方は白で一方は黒。
どちらの方が重そうに感じますか?
実際の重さは同じでも黒い箱の方が重く見えますよね?
この色の重い、軽いという印象は、明度の高低によって決まり、色相にはあまり関係がありません。明度の高い明るい色ほど軽く見え、白に近づくほど軽く感じます。明度の低い暗い色は重く見え、黒が一番重く感じます。
一般的に部屋は、天井が高く見えた方が伸び伸びして快適です。
でも既にある天井の高さをもう少し高くしたいからと簡単に伸ばすことはできませんよね。
そこで、色の重い、軽いを内装材選びに応用します。
天井の色を明るく、床を暗く、壁は天井と床の中間色にすれば、天井が高く広々と見せることができます。白い天井は見た目に10cm高く見え、暗い天井は20cm低く見えるとも言われています。
また、スーツの例に挙げたように、暗い色は小さく引き締まって見える「収縮色」、明るい色は大きくふくらんで見える「膨張色」です。
賃貸住宅や間取りの関係でどうしてもできてしまった細長い部屋は、間口が狭い方の2面の壁を暗い色にすると細長さを和らげることができます。
天井・壁・床の明るさで受ける印象の違い
とある住宅のリビングのコーディネート例。
コンクリート打ちっ放しに木目の素材感たっぷりのソファセット、収納棚が映えた統一感のあるコーディネートです。
この部屋の天井を暗くしてみましょう。
いかがですか?
天井を暗くすると実際よりも低く見え、圧迫感が出ましたね。
続いて、元の写真を床→壁→天井の順に明るい色にしてみましょう。
いかがですか?
元の写真よりも天井が高く感じませんか?
次に、壁の色を変えてみましょう。
暗くした壁方向に狭く感じませんか?
これが収縮色の視覚効果です。
最後に床の色を元の写真よりも明るくした場合と暗くした場合の2パターン。
床の色を明るくすると随分広がりが出て開放感のあるリビングになりました。
床の色を暗くすると落ち着いた雰囲気になりましたね。
でも明るい床に比べると狭くて暗い印象が残ります。
暖色と寒色、使い分けはどうしたらいい?
【10色事例付】カラーの効果と好きな色をインテリアに上手く入れるコツにも書いたように、太陽や火を連想させるオレンジや黄色は「暖色」、氷や水を連想させる青や青緑は「寒色」です。
この2つを上手く部屋に応用すればぬくもり感を出したり、涼しげに演出することができます。
暖色と寒色は、この体感温度の違いだけではありません。実は、広さに対して感じ方が異なることも覚えておきましよう。
暖色
日の当たらない北側の部屋やぬくもり感を出したい部屋に使用します。西日が当たる部屋に使用すると夏場、余計に暑苦しく感じるので注意が必要です。
また、暖色系は気持ちを高ぶらせる作用もある為「興奮色」とも言います。
暖色系で鮮やか過ぎる色は入眠を妨げるので、寝室やワンルームの寝床から見える場所には使用しないようにしましょう。
暖色系は前に迫って見える進出色です。壁などの広い面積に濃い暖色系を使うと、部屋が狭く見えます。窓が小さな個室や書斎、ワンルームなどでは、壁やカーテンに濃い暖色系を選ばないようにしましょう。
暖色を用いたコーディネート例
寒色
白、グレー、黒も寒色です。
寒色系は涼しげに演出したい部屋に向いています。特に青は「鎮静色」と言って、高ぶった気持ちを静めてくれる色。
寝つきが悪い人は寝室に取り入れるとよいでしょう。
ただし、鮮やかな青では頭が冴えきってしまうので、ソフトな色を選びましょう。
青と言えば男性というイメージがあるかも知れませんが、明度が低いペールトーンの青などは女性にも扱いやすいカラーです。ワンルームマンションのカーテンやラグ類に取り入れてみてはいかがでしょう。
緑は、心を穏やかに保つ作用がある為、リラックスした部屋におすすめです。
寒色系は暖色系の反対で後ろに下がって見える「後退色」です。狭い部屋を広く見せるには効果的ですが、鮮やか過ぎると圧迫感が出るので注意して選びましょう。
寒色を用いたコーディネート例
大きな柄と小さな柄、どっちを使うと効果的?
ドット柄やストライプなど、インテリアには合わせやすい柄があります。でも、これらの柄を壁紙やカーテンに取り入れる時は柄の大きさと部屋の広さのバランスに注意しましょう。
暖色系は進出色で寒色系は後退色であるように、柄の大小によっても遠近感が異なります。
細かくて淡い色の方が、大柄で濃い色より遠くにあるように見える為、部屋に広がり感を出すことができます。
狭い部屋のカーテンにドット柄を選ぶ時は、色が薄くて水玉が小さいものを選びましょう。
また、縦ストライプは縦長に、横ストライプは横長に見せる効果があります。
同じ色でも、面積が大きいほど、明るく鮮やかに、暗い色はより暗く感じられます。ドット、ストライプなどの柄物を小さなサンプルで確認する場合は、面積効果に注意しましょう。
可能であれば、カーテンや壁紙、床材はなるべく大きな見本で確認し、ショールームなどで原寸大を確認するようにしましょう。
[参照元:Houzz Inc]