生活に欠かせない食事の場=ダイニング。
ですが、食事を食べる時間は、30~1時間程度。
他の部屋に比べると、滞在時間が短い上に、食べるという行為のみに使う場所なので、居心地は二の次で、安いダイニングテーブルセットを適当に買ってしまうというケースもあるかと思います。
でも、その考え方に「ちょっと待った!!!」と警鐘を鳴らすのが今回の“ダイニングチェアを考えよう”特集。
ダイニングテーブルとチェアの相性や体との相性、チェアのデザインによるスペースの見え方や使い勝手の違いをよく知った上でダイニングチェアを買うと、ダイニングが見違えるほど居心地の良い場所になります。
「ダイニングテーブルとダイニングチェアを別々に買う。」
「ダイニングチェアだけを新調したい。」
こんな場合に、是非読んでほしいダイニングチェアの選び方と素敵なダイニングインテリアの数々を紹介していきましょう。
ダイニングチェアの選び方5つのポイント&ダイニングコーディネート例-目次
1.ダイニングテーブルとダイニングチェアの関係について考えよう
1-1.ベストなダイニングチェアの高さとは?
- 今使ってるダイニングテーブルをそのままにして、ダイニングチェアを買い替える場合
- ダイニングテーブルとダイニングチェアを別々に買う場合
- ダイニングテーブルをオーダー、または自作してダイニングチェアだけを買う場合
どの場合でも、テーブルの高さとチェアの座面の高さには使い心地の良い関係があります。
テーブル高とチェア座面の心地良い関係
- ダイニングテーブルの高さ-27~30cm
- ダイニングチェアの座面の高さは身長の1/4程度
1-2.見落としがちな通路スペース
ダイニングの居心地の良さや使い勝手は、1-1.ベストなダイニングチェアの高さとは?に書いたテーブルと椅子の関係を考えただけでは良くなりません。
椅子を十分に引くスペースがなく、体を斜めにしながら座らなければならないダイニングや、食事の最中、誰かが後ろを通る度、立ってダイニングチェアをしまう動作をしなければならないようでは「落ち着いてご飯も食べられない!!」となってしまいます。
快適に使えるダイニングスペースの基本は以下の通りですが
ダイニングチェアの後ろに必要な寸法
- ダイニングチェアに座る:テーブルの端+50cm
- ダイニングチェアを引く:テーブルの端+75cm
- 快適に通れる通路幅:90cm
座った時、椅子を引く時など、食事をする場合に「快適に動作が出来るか?」だけでなく、見落としがちな、ダイニングチェアを使っていない時、ダイニングテーブルの周りを快適に通過できるか?も考慮するようにしましょう。
特に、ひじ掛けの有無は、ダイニングスペースを使っていないときの通路幅に関係してきます。
肘掛けの有無による通路幅の違い
上の写真のような肘付きのダイニングチェアの場合は、座ってない時でも、ひじ掛けがダイニングテーブルに当たってしまうので、テーブルにピッタリくっつけてチェアを収納することができません。
ひじ掛けあり、ダイニングテーブルの下にすっぽりと納めることができないダイニングチェアは、
- ダイニングスペースが狭い場合
- ダイニングにベランダが隣接している場合
- ダイニングが他の部屋への通路になっている場合
にはおすすめできません。
上記のような条件のダイニングでも、「どうしても、ひじ掛けが欲しい。」という場合は、下の写真のような、ひじ掛けが斜めになったデザインを選ぶようにしましょう。
1-3.背もたれの高さとデザイン
ダイニングチェアの背もたれは、高さがあったほうが、体を預けることができるのでリラックスしながら食事することができます。
でも、背もたれは「視界を遮る」というデメリットも含んでいるので、デザインに注意するようにしましょう。
高さ比較
同じ白のダイニングチェアでも、背もたれの高さによって、部屋の広さの見え方が変わってきます。
背もたれがテーブルの高さと同じくらいしかないダイニングチェアをコーディネートした例。
背中をしっかり支える背もたれの高いダイニングチェアをコーディネートした例。
いかがですか?
背もたれが低いダイニングの方が、部屋が広々と見えませんか?
デザイン比較
背もたれが柵状になった背もたれが高いダイニングチェアをコーディネートした例。
背もたれが高いダイニングチェアにする場合は、背もたれの後ろが透けて見えるデザインにすると、窮屈な印象が減少します。
1-4.素材別メリット&デメリット
木製
- 温もり:◎
- 清潔感:◎
- 座り心地:△
- お手入れ:○
- カラーバリエーション:×
木製のダイニングチェアは、ダイニング全体に温もりをもたらしてくれます。
木は、硬い素材なので、背もたれや座面にクッションが無いデザインの場合は、長く座るのが苦痛になってしまう場合も。
ワイヤー
- 温もり:×
- 清潔感:◎
- 座り心地:△
- お手入れ:△
- カラーバリエーション:×
ワイヤー素材のダイニングチェアは、インテリアに洗練された印象をもたらします。
また、向こう側が透けて見えるので、狭いという印象も軽減できます。
ただし、ワイヤーの継ぎ目に埃がたまりやすく、マメに掃除をする必要が出てきます。
アクリル&プラスチック
- 温もり:△
- 清潔感:◎
- 座り心地:△
- お手入れ:◎
- カラーバリエーション:◎
アクリルやプラスチック製のダイニングチェアは、ダイニングに清潔感をもたらしてくれ、お手入れも比較的簡単です。
特に、透明素材のダイニングチェアは、ワイヤー素材と同じように、ダイニング全体を広々とした印象にするメリットもあります。
木と同じく硬い素材なので、クッションで座り心地を良くする必要が出てきます。
ファブリック
- 温もり:◎
- 清潔感:△
- 座り心地:◎
- お手入れ:△
- カラーバリエーション:○
ファブリック素材のダイニングチェアは、ダイニングに温もりをもたらしてくれます。
座面にクッションが入ったものが多いので、座り心地は他のどのチェアよりも◎。
油染みなどの汚れに弱いというデメリットがあります。
レザー
- 温もり:△
- 清潔感:◎
- 座り心地:△
- お手入れ:△
- カラーバリエーション:△
レザー素材のダイニングチェアは、ダイニングにおしゃれな印象をもたらしてくれます。
合皮の場合、割けてしまうことがあるので注意が必要です。
1-5.デザイン別メリット&デメリット
ベンチ
「椅子を引く」という動作が不要な上、背もたれが無い分、空間を広々とした印象にします。
「片手で動かせない。」「真ん中に座った人が動いにくい。」というデメリットも。
ダイニングソファ
ダイニングソファもベンチ同様、椅子を引く必要がないので、背もたれを壁にピタっとくっつけてレイアウトすることが可能です。
ソファは、ダイニングチェアよりも奥行きが必要なので、床面積に占める家具の割合が大きくなり、開放感には欠けていまいます。
2.デザイナーズチェアをコーディネートしてダイニングをイメチェンしてみよう
「ダイニングチェアを買い替えて、ダイニングの雰囲気を変えたい!!」
そんな時におすすめの世界的に有名なデザイナーのチェアを4つ紹介します。
2-1.チャールズ&レイ・イームズ
チャールズ&レイ・イームズのチェアは、インテリアに詳しくない方でも、一度は目にしたことがあるのでは?
中でも、シェルチェアは、シンプルなデザインとカラーバリエーションの豊富さでダイニング空間を華やかに演出するのに最適です。
赤、黄、ホワイト、グリーン、黒のイームズシェルチェアをコーディネートしたダイニングの例。
ホワイトのアームチェアをコーディネートした4人掛けダイニングの例。
2-2.アルネ・ヤコブセン
アルネ・ヤコブセンのセブンチェアは、曲線が美しく、シンプルなデザイン。
成形合板ですが、カラーバリエーションも豊富です。
円形のガラステーブルに赤のセブンチェアをコーディネートした例。
大理石調のダイニングテーブルに、赤、ピンク、ホワイト、イエローのセブンチェアをコーディネートした例。
2-3.エーロ・サー・リネン
エーロ・サー・リネンのチューリップチェアは、その名の通り、チューリップのような可愛いデザイン。
エーロ・サー・リネンのチューリップテーブルにチューリップチェアをコーディネートした例。
長方形のホワイトのダイニングテーブルにチューリップチェアをコーディネートした例。
2-4.ヴァーナー・パントン
ヴァーナー・パントンのパントンチェアは、プラスチック一体成型なので、見た目が綺麗♪
エレガントなダイニングを演出したい時におすすめです。
ホワイトのパントンチェアを2脚ずつ、対面式にレイアウトした4人掛けダイニングの例。
木製のダイニングテーブルに真っ赤なパントンチェアを3脚ずつ、対面式にレイアウトした6人掛けダイニングの例。
腰かけスタイルが超可愛いパントンチェアがあるインテリア風景30選
3.チェアのカラーコーディネートにこだわってダイニングをイメチェンしよう
「【10色事例付】カラーの効果と好きな色をインテリアに上手く入れるコツ」にも書いた通り、色には様々な効果があり、暖かい雰囲気を演出したい場合は暖色、広々とした印象や清潔感を演出したい場合は寒色、と言った具合に、ダイニングチェアも例外ではありません。
最後は、ダイニングチェアの色決めの参考になるカラフルなチェアのインテリア例を紹介しましょう。
3-1.暖色系ダイニングチェアのカラーコーディネート
赤
木製のダイニングテーブルに赤のダイニングチェアを組み合わせると、温かい印象のダイニング空間を演出できます。
自然と人が集まり、楽しい食事時間を重視するなら、この色が断然おすすめです。
オレンジ
ホワイトのダイニングテーブルとオレンジ色のダイニングチェアの組み合わせは、元気で活発な印象のダイニング空間を演出できます。
オレンジ色はビタミンカラーでもあるので、食欲が減少しがちな夏にも最適!
オレンジ色のチェアをアクセントカラーとして使いたい場合は、2個目の事例のように椅子の一部にオレンジ色が少しだけ使ってあるデザインを選ぶと◎。
黄色
ホワイトや茶色のダイニングテーブルに黄色のダイニングチェアを組み合わせると、ダイニング全体がパッと華やかな印象に!
オレンジ色同様、食欲増進も期待できる色なので、食欲不振に陥りがちな方は、積極的に取り入れると良いかも。
ピンク
ダイニングチェアをピンクにすると、ダイニング全体が愛らしい印象に!
家族が集う場所にピンク色を使える機会はなかなかないので、小さなお子様と食事を取ることが多いファミリー住まいの方は、「成長するまでの間だけ。」と期間を決めて、ピンク色で冒険してみるのもありです。
3-2.寒色系ダイニングチェアのカラーコーディネート
水色
青
寒色は暖色に比べると、圧迫感がなく、すっきりとした印象をもたらしてくれるので、ブルー系のダイニングチェアは、狭いダイニングに最適です。
ただし、色温度が低い色でもあるので、冬も想定して色を選ぶようにしましょう。
3-3.中性色系ダイニングチェアのカラーコーディネート
紫
紫のダイニングチェアは、ダイニング空間に上品さをプラスしたい時に最適です。
ティータイムを優雅に楽しみたい方におすすめです。
緑
グリーンのダイニングチェアは、ダイニング空間に癒しをもたらしてくれます。
また、木は緑と相性が良いので、木目が目立つダイニングテーブルに組み合わせても、コーディネートに失敗するという心配がありません。
3-4.無彩色系ダイニングチェアのカラーコーディネート
黒
黒のダイニングチェアは、ダイニング空間に重厚感をもたらすのに最適です。
ただし、最も重さを感じる色なので、圧迫感を感じ過ぎないようにデザインにも注意する必要があります。
グレー
グレーのダイニングチェアは、ダイニング空間を上質な印象にしてくれます。
狭いダイニングには、濃いグレーよりも、白に近い、薄いグレーのチェアがおすすめです。
ホワイト
ホワイトのダイニングチェアは、ダイニング空間に清潔感を演出するのにぴったりな色です。
また、色の中で最も軽く、空間を広く見せる効果もあるので「窮屈なダイニングは嫌っ!」という場合に、積極的に使うと◎。
ただし、汚れが一番目立つ色でもあるので、ダイニングチェアをホワイトにする場合は、お手入れがしやすい素材を選ぶようにしましょう。
3-5.ダイニングチェアのカラーをミックスしたコーディネート
「ダイニングチェアは、人数分の椅子、全部同じ色でなければならない。」そう思っていませんか?
ホワイト、グレー、黒の無彩色に温かみのある暖色をプラスしたり、同じトーンの色違いのチェアをミックスすることで、ありきたりなダイニング空間をワンランク上のおしゃれな空間にしてみましょう。
無彩色+暖色
10脚のダイニングチェアのうち、8脚をホワイト、2脚を赤でコーディネートした例。
10人掛けの大きなダイニングの例ですが、4人掛けなら赤:1&ホワイト:3、6人掛けなら赤:2&ホワイト:4という具合に、赤の割合を少なくすることで似たような雰囲気が作れます。
8脚のダイニングチェアのうち、6脚を黒、2脚を黄色でコーディネートした例。
デザインが同じチェアの色違いなので、色が違っててもゴチャっとした印象はありません。
1個前の事例と同様に、4人掛け、6人掛けでも真似できます。
無彩色+寒色
6脚のダイニングチェアを、ホワイト×3、水色×3でコーディネートした例。
対面のチェアを色違いにしたバージョンです。
同じトーンの色違い
明るさや暗さが同じ位置にある違う色の色同士のダイニングチェアを組み合わせると、色が全部違っても、バラバラとした印象にはなりません。
インテリア上級者のコーディネートですが、おしゃれなダイニングの参考に。
ホワイトの円形ダイニングテーブルに、ホワイト、グリーン、イエロー、ブルーの木製のダイニングチェアをコーディネートした例。
チェアの色が全部違うのに、グリーン、イエロー、ブルーの明るさ・暗さ(トーン)が同じなので、“揃っている”印象がします。
6脚のダイニングチェアを紫×3、ブルー×3でコーディネートした例。
ファブリック素材のダイニングチェアで同じトーンのチェアを組み合わせるのは、一見難しそうですが、同じシリーズの色違いを探してみると意外と簡単に見つかります。
10脚のダイニングチェアを、イームズのシェルサイドチェア DSWのスパロー、ペールイエロー、ジャバ、ブルーアイス、ケリーグリーンでコーディネートした例。
イームズチェアと言えば、オレンジ色やアクアスカイなどのトーンが明るめのチェアを組み合わせた事例をよく見かけますが、これは、暗めのチェアばかりなので、落ち着きがありますね。